『道元の見た宇宙』岩田慶冶著・すごい本を読んでしまった。 |
深い本でした。すばらしくて、言葉になりません。
すごい本を読んでしまったなあー!
この本を読み始めたときからある尊厳を感じ、
丁寧に、ていねいに読み込んでいこうと
毎朝一時間かけて
ゆっくり読み
今朝、読み終えました。
道元の『正法眼蔵』の言葉を基調に
比較文化人類学者の岩田慶冶氏が語る
その世界、その宇宙。
それは岩田氏自身の
積み上げられた学問と教養の知性と
自己研鑽のなか、
自らの内面を解析し検証する作業の中で
言葉が極められ
道元が語る世界観と宇宙観のなかの
「人間の存在」とはな何かが
語られる。
私にとっては、まさしく
今のこの時までに
自分の人生で起きたすべてが
そこに収斂されていく
素晴らしいメッセージでした。
私の直面した数々の不安や闇や
不遇や凍てつくような孤独、
そして長い間悩まされた人間不信。
放浪した宗教。
すがるように読んだたくさんの本そして
文学や音楽や芸術や
カウンセリング、心理学や物理学や
脳科科学のそれらすべてが結集されて
このときのために
私に用意されていたのかと
思います。
その知識や経験が
いきいきとした臨場の実感を伴って
この本のことばを解読して行きました。
喜びに溢れています。
人生は生きて見るもんです。
道元は語る
『心とは山河大地なり 日月星辰なり』
この世のすべてはわたしを透して起こり
そしてそれはすべて
私に返され、私はそれを受け取りながら生きている。
そこにそびえる山も川も星も、
わたしの意識と価値観をとおして見、
私の意識をとおして語りかけてくる。
森羅万象すべてが私であり
宇宙は私のなかで起こっている。そして
さまざまな出会いの中で
わたしが形作られてゆき、
絶え間なく変化しながら存在が経緯してゆく。
誕生は常に死を経緯しながら私は常に生まれ変わり
私の誕生と死は宇宙のなかに包括され
自我の固執や時間の枠(時空)を超克して
私は抽象化され仏性へと向かって行ったとき
永遠であること。
『仏家の風は大地の黄金なるを現成せしめ
長河の蘇酪を参熟せり』
すべたが必然であり
すべてが意味をもち
そして
その出会いのなかで
大地は黄金に実り
黄河の水は美酒となって熟す。
人生はそのようなものであること。
『一切衆生 悉有仏性』
この宇宙の生きとし生けるものすべてが
その出会いのなかで
お互いを照らしあい、錯綜し、交叉したり
離反したり、しかしそれらはすべて
宇宙の大きな営みと循環のなか、
つまり仏性の中にある。
ああ私の稚拙な文では
余りに矮小になりそうです。
どうか欲する人は読んでください。
読み終えて、
私の中に以下のことが浮かんできました。
自分がなぜ苦しむかは、
自分がこの世(今の俗世)の価値に翻弄され
それによって自分を量っているからです。
私が傷つくのは
他者の価値観におもねているからです。
この世の価値などに
翻弄されるものかっ!
どうぞそのようにわたしを
導いてください。
ありとあらゆる時と場において
自分を
全肯定する
ぞ。