言葉をください! |
もう頭の中が満杯で
実はYouTubeでシャドウというこころの現象について
お話するために
どうしたら、わかりやすく、見ている方が受け取ってくれるかと
ずーっとそのことが頭のなかを巡っていたのです。
YouTubeでお話したシャドウという心理現象については
これがアップしたら、さらにこのブログで
サポートしようと
思っています。
それと、うちの父ちゃんのことを撮った
ドキュメント映画「真艫の風」がクランクアップしたので
そのことでも、あたまがいっぱいでしたし
さらに
今月の26日に67歳になりますから
67になった自分のことをあれこれ考えていました。
このところ朝日新聞で
100年前の明治に漱石が新聞で連載したのと
同じ形式で
「こころ」が掲載されています。
今日で4回目で、
毎朝よんでいるのですが、
まず文章の壮麗なことに
びっくりしています。
壮麗というか、湧水で渇いたのどを潤すように
さらさらと渋滞のない言葉が
私の中に入ってゆき
情景がすぐ
目に浮かびます。
たしか私が高校生の頃
今から50年近く昔にこの作品を
読んだのですが、
でもその時は
この
”言葉”を読んでおらず
むしろ筋だけをよんでいたのではないかと
思います。
こういう端正な言葉や
流れの美しい文章の本が
現代もあるのでしょうかね~?
とても聡明に整理された言葉と文章です。
言葉といえば
20日の朝日新聞に
「漱石が生きた『明治の精神』と題して
大江健三郎さんへのインタヴューが載っていました。
大江さんの作品も
若いころたくさん読みましたが、
中でも
「人生の親戚」という作品だけが
心の中にのこってしまい
ほとんどの本は処分したのですが
(私は本は食べものとおもっているので
何らかの必要があるかまたは
手もとに置きたい本以外は
読んだら処分してしまいます。)
つまりあるときもう
大江さんから卒業しようとおもって
ほとんどは処分しましたが
「人生の親戚」だけは今も
文庫分を買って持っています。
若い頃の私はこの本の何に心惹かれたのかな~と
考えつつ、でも
今
こう書いていたら目頭が熱くなってきたから
やっぱり、なにか心の中に刺さったんですね~!
それで話を戻しますが
新聞のインタヴューの最後のところで大江さんは
「集団的自衛権」のことを訊かれます。
大江さんの答えは、
戦後の新しい日本再生の希望としての新憲法という
おおむね当時の私がこの「憲法」に感じたのと
同じようなものでした。
当時の私は
”憲法”を教えられた時
一切の戦争を放棄するということが
新鮮でまぶしく
そしてその特異性こそが
日本のアイデンティティーであると
ずーっと思って生きてきましたからね。
しかし今はもうその単純さでは
生きれなくなりました。
今の日本には
あの戦後のような
自由さと自在さは消えて
日本人は
小さくまとまり
国家というものに依存し
さらに自信をなくして萎縮しているようにも
見えます。
先日書きましたように
国にとって
いや国だけでなく
個人においても
重要な決断や選択をするときは
その動機が問題です。
その動機が
確信や自信に満ちたものではなく
周囲の動向を伺っていたり
そこにある主体が
依存や受け身である時
それはとても危ういことです。
そしてこの”集団的自衛権”の問題で
大江さんは
日本が戦争に参加させられる近い将来への
市民の驚きの声が低いのが不思議だった。
普段は意識していないが、今の壮年の人たちの時代精神と
僕はズレてしまったのだろう、自分らの
時代はの精神は消え去った、と思いました。
しかし希望が見いだせるのは、朝日新聞の
世論調査で行使容認反対が63%と増えていること。
時代の精神は簡単に忘れされてしまわない、とも
考えました
中略
私がもうひとつ希望を感じるものに
デモや集会があります。
安倍政権に不平のある人たちが集まってくる。
僕も歩きながら、不戦と民主主義の憲法、
つまり、
「戦後の精神」を」譲らない老人でいようと思う。
と
語られています。
確かにそうかもしれません
でも
私はこの大江さんの言葉には違和感があります。
大江さんがデモや集会にいかれるのは
それはそれでいいと思います。
しかし私は
大江さんにあってもらいたいのは
”文学者”として
”言葉の人”としての
大江健三郎です。
今
この日本に必要なのは
日本人が自信と誇りを取もどすための
思想や哲学ではないかと
私は思っています。
それは
安直な感情や、ナショナリズムを排した
謹厳で勤勉で実直で聡明な日本人であるための
言葉です。
大江さんがノーベル賞受賞の席で語られた
ディーセントな日本人を、
日本という国についての深い洞察からくる
思想や哲学を、
語ってほしいと思います。
若者が読み
壮年も読み
そして
老いた者も耳傾ける
これからの日本の指標になるような
言葉を
私はお願いしたいです。
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