今度生まれてくるときは |
私は彼女を知らなかったが
初めてテレビで彼女を拝見し驚いた。
歌手というにはあまりにやせている。
しかも発声はファラセット(裏声を使う発声法)で本格的だ。
ご存知とおり女性のオペラ歌手はみなこの発声法で
ビヤダルのごとく太っている。
なぜならばい1曲歌うだけでも全身を使って発声するので
オペラを歌いとおすには物凄いエネルギーが要る。
そして猛烈にお腹がすくのだ。だから
だからよく喰う。
オペラ歌手はバイタリティーに満ちている。
結核で死ぬオペラ「椿姫」のヒロイン、ヴィオレッタでさえ
デブデブの歌手が演じている。
リアリティーのないこと極まりないが、
それでも観客を感動させる声量と歌唱力を保つには
これくらい迫力がないと!
腹式呼吸もせず、口先だけで歌うならまだしも
本田さんはきっと一生懸命練習され
この唱法をマスターしたのでしょうが
しかし、あまりにもやせ過ぎている。
そして聞くところによると、もとアイドルで
弔問客からは、天使だったとか、いつも笑顔がどうのとか
本人の書いた詩も
笑顔でひとを喜ばせたいとか・・・。いつも努力とか・・・。
きっと大変苦しい人生だったと思うが
しかし間違っていると私はあえて言いたい。
人が感動するのは笑顔ではないヨ。
その人間の内面から溢れ出た真実の顔に人は共感する。
笑顔も、緊張が張り詰めた顔、悲しみの顔、絶望に満ちた顔
そして歌もそんな自分のすべてをさらけ出したときに
聴衆は心を打たれる。
自分の中の喜びも、悲しみも、憎しみも呪いも毒も全部だヨ
そして本当に歌を歌って人を感動いさせたいなら
アイドルとか、舞台で成功するとかの前に
他人を喜ばすとかなんての偽善を捨て
他人のために歌うのでなく
一人の生身の人間として
まず、自分を極めてサ
自分の喜び、悲しみを歌い上げてほしいネ。
人間の光と影、歓喜と暗黒、すべてを歌いきるために
堂々たる生命力をつけて
余計なものははねつけるくらいの強さを持って生まれてきてください。
歌を極めていくためには、
他人がどう思うと、わがままでいけ好かなかろうと、
そんなことはたいしたことはないんだと
彼女の才能を本当に生かそうとする人間が誰もいなかったことこそ
とても気の毒でならない。
今度生まれてくるときは、自分を生かすために
タオリさんのところにおいで
少なくともその人間が一番望んでいることを
私は見守れると思うヨ
それも買いかぶりカアー・・・。
ご冥福を祈ります。