あの時貴女は颯爽と! |
新所沢にあるパン屋、リッシュまで行った。
その帰り道、信号を待っている老婦人がいた。
どこか見覚えがありると思い、よく見ているうちに
懐かしい思いでが浮かんできた。
その老婦人は我が家の子供がまだ幼児の頃
近所に住んでおられた方だ。
確か大学生の娘さんがいて
私にピアノを習いに来てたっけか?
よく思い出せないが・・・。
しかし鮮明に思い出したのは、若き日の老婦人。
彼女の愛するご主人が亡くなられた時・・・。
確か新聞記者をしておられて、
その激務のために多分50何歳の若さで、
ご主人は亡くなられたと覚えている。
お葬式に行った記憶がある。
プロテスタントの教会だったと思う。
その後お会いしたとき
新聞の訃報欄にご主人の名前が出ていたことを
誇りにされていた。
とてもプライドが高く、しゃんとしていたが
とても可愛い女性だった。
今日お見かけしたときは、白髪で少し背中が曲がっていた。
考えてみればもう80歳になられたのだろうか。
ご主人が亡くなられてしばらくして、
道の途中でお会いした。
これからお勤めに行くということで、
自転車に乗られていた。
それまではずーと家庭におられたが・・・。
あの時貴女は颯爽と自転車に乗り
ワインレッドのベレーをかぶり、
スカートを翻しながら、
かぜのようにペダルを踏んで行かれました。
私を残して、
しゃんと伸びた背中を見送リました。
今目の前にいるあなたの若き日の姿です。
なんだか目頭が熱くなって、
あれからきっと
いろいろなことを越えられてきたんでしょうね。
随分年を取られましたねー。でも
お顔のなかに」貴女の若き日のプライドが
今も崩れることなく見えています。
私は車の中、彼女は気が付くことなく
ほんの1,2分の再会でした。