くす美さんと山中さんの世界! |
私が高く評価する二人の作家がいる。
ひとりは山中奈緒子さんもう一人は
くす美さん。
二人はとても仲良しらしくて、
以前中野の光座で見た、
「マカブルタンツ」という劇の
ロビーデモンストレーションにも
そろって出品していた。
テーマはサーカス。
二人とも独特の世界と感性を持っている。
くす美さんのほうは
とても懐かしい世界。
ふるーいフランス映画、
イタリア映画を髣髴とさせてくれます。
中学生の頃読みふけっていた
アルチュール・ランボーやボードレール。
アポリネール、ジャンコクトーの世界を
おもいだします。
それに、
なんとも言えない憂いや悲しみが
「パリの空セーヌは流れる」とか、
[天上桟敷の人々」
「パリ祭など」の映画で心に刺さっている場面と
重なって、
感傷がうずいてきます。。
マルセルマルソーやジュリアン・ディビビエ
フランソワーズ・アルヌール、ジャン・ギャバン
それにジャン・マレー・・・・など懐かしいなあー・・。
もう忘れてしまってなかなか思い出せないけど
他にもステキな俳優さんたちが大勢いました。
パリの下町で
スリ・踊り子・貧乏芸術家、娼婦やヒモそのほか、
いかがわしい人間達がたくさん繰り広げる
人間模様・・・・。
それはなんともいえない
かげりの中で
寂しくてやりきれなくて、いつも
不幸な結末だったけど、
面白くて、たくましい世界でもありました。
それに思い出したッ・・・!
ジュリエッタ・マシーナーの「道」なんかも・・・。
ぼやけた電燈の下に照らされて
くすんだ臙脂(えんじ)や灰色、重たい黄色の
悲しい色彩が
どうしようもなく
諦めきった
人間の心の奥行きをかんじさせる。
(中学生の頃の私は
きっと暗くて重たかったんでしょうね。)
くす美さんはその世界を
ひっそりと守ってきたんだろうなーと
思います。
山中奈緒子さんの世界は
逆に
彼女の暖かさや寂しさが
素直にそっと差し出されていています。
大上段に構えることの
決してない世界で、
本当に些細なこと
ウカウカすると
見逃したり
とおり過ぎてしまいそうな風景を
大切に大切に手のひらで
彼女が暖めてきたせかいです。
時代に流されることもなく
彼女自身の小さな小さなカケラを拾い集めて
擦りきらさないように
薄くならないように
守ってきた、
そんな感じがします。
二人ともの世界が
極めて個人的な思いの世界でありながら、
多くの人の胸を打つのは、
二人がわき目も降らず
ジーット自分の心の中の大切な世界を
見つめ続けてきたからだと
私は思います。
おそらくそれを守るために
彼女達が捨てたものも多いと思います。
今私が彼女達に心惹かれる大きな理由は
そこにあるのかなーと
思います。
その人が大切にしている
その人だけの世界を
私も大切にしたいと思います。
同様に
もう遅いかもしれないけど
私も自分の世界を
まもりたいです。
若きアーティストに
触発されました・・・。