金子晴香作品 |
○ 金子晴香・・・ 「!いのちの輝き!おとの無いおどり」 版画 オブジェ
彼女は不思議な女性です。今回のテーマは踊りです。ヘンな裸の人間が踊るのです、彼女の画面のなかで・・・。
新しくギャラリーをはじめるべく、東京中を歩いてアートの作品を見て廻っていたとき、偶然に彼女の作品が目に飛び込んできました。なんとも奇妙で不思議な版画でした。髪振り乱だした裸の男が片手に鳥を捕まえて歩いているのです。
次に彼女から見せてもらった版画には、山羊がシャワーを浴びている絵が描かれていました。へたれた山羊の頭にシャワーが降り注がれるさまは、まるで、禅問答か哲学のような世界でした。その他にも、フィンランド版画展に入選したという版画は、坊主頭の人間がおぼつかなく立ちすくんでいる絵で、題が“suddenly I was born!”
彼女の版画の世界には、独特のユーモアの後ろに短剣が忍ばせてあり、もっと奥には孤高なる狂気の時代の生命の乱舞が潜んでいるのです。そしてまさにそこに重なるのは、
原始、原型の日本人の生まれ変わろうとする姿であると確信しています。