女のサーカス、播磨みどり、現代の詩! |
見た瞬間に誰もが不思議がる播磨みどりさんの作品は
コピー用紙でできている立体です。
コピー用紙のヌメヌメとした黒白の質感の表面を
アクリルの容器で遮光しています。
彼女の視線のさきには
鋭い現実を突き刺す光線があるのですが、
その現実を白と黒のコピーに感光させ
色彩を失い無機化させた現実が
逆に大きなリアリティーをもって
私達に突きつけられます。
アクリルケースの中で不気味に笑う赤ん坊は
逆に赤ん坊の尊厳を持って
私達の赤ん坊神話を突き崩し
ケースの中のドクロは
まるで生きているように
なにかを語りかけます。
かわいらしい靴も
アクリルケースに封印されて
私たちの媚を跳ね返し、
かすかなる線で描かれたドローイングは
仮面化した顔を破りとられています。
こんな激しい
現実への抗議を
私は見たことがない・・・。
ゆえに
そこに
反転されて希求される
人間への
存在への執着を見ます。
それは現代を純粋に歌う
叙情詩の様でもあります。
乾ききった叙情性の奥に
一人の女性の愛への希求を見るのは
私だけでしょうか。
現実をごまかさないで歌うということは
こういうことなんだと
私は思います。