世界を、こんなふうに見てごらん |
心のどこかで、早く眠りたいナーと不安が巡る一方で
「世界を、こんなふうに見てごらん」という
日高敏隆先生の言葉が頭の中を行き来して
ああーなんて素敵な言葉だろう・・・。
この言葉をもっと極めて考えたいなーと不眠のまま
ユラユラ考え続けました。
この本の中で日高先生も
人間は自分のイリュージョンの中を生きている・・と
言っていますが、まさにそのとおりで、
人間は自分の脳のイリュージョンを生きている。
だから世界を、どういう風にみるかは
そのひとしだいです。
すべては相対的に存在してあり、
自分の見方しだいで、世界はどうにでもなる・・・ということはもとより、
世界は百万変化の見方がある。中でも
虫や動物にはこの世界がどう見えてるのなかーと
先生が見る世界はもーほんとに楽しい!
楽しいというのは・・・自分を喜ばしてくれる・・とか
慰めてくれる・・とか言うのではなく
虫や動物たちから見た世界は
人間の通り一片な常識や観念なんか
蹴っ飛ばされる以外性や未知に満ちた世界で
そう思うと、
せまーい思い込みの世界で
右往左往する偏った自分が
どうでもよくなる愉快さ(楽しさ)がある。
先生の熟した文体で
ヒョイヒョイと書かれた世界には、
「そうであるかもしれないけど、
そうじゃないかもしれない・・?」という
先生独特の浮世ばなれした疑問が湧いてきて
そういう疑問の穴から、おもいがけない発見が起きてくる。
私達はどうしても、慣れ親しんだ方向からばかり、
ものごとを見てしまうけれど、
ふっと
ちがうほうからかも、見てご覧よ!と言われて
閉じていた窓が開かれる開放感がありました。
今日はともかく
本の扉の文がすばらししいので
ご紹介します。
・・・世界を、こんなふうにみてごらん!・・・日高敏隆著
いきものとおしゃべりするには、観察するのがいちばんだ。
子どものころ、ぼくは、虫と話がしたかった。
おまえどこに行くの。 何を探しているの。
虫は答えないけれど、いっしょうけんめい歩いていって、
その先の葉っぱを食べはじめた。
そう、おまえこれが食べたかったの。
言葉の代わりに、見て気がついていくことで、
その虫の気持ちがわかる気がした。
するとかわいくなる。うれしくなる。
それが、ぼくの、いきものをみつめる原点だ。
どうやって生きてるのかを知りたいのだ。
おまえこんなことしてるの。
そうなの、こういうふうに生きているの。
その物語がわかれば、すごく親しくなれる。
みな、ようよう今の環境に適応して生きている。
生きることへの深い共感は、そうやって生まれてくる。
世界を、こんなふうに見てごらん。
この本を、これからの少年少女と大人に贈る。
人間や動物を見るときのぼくなりのヒントをまとめたものだ。
生きているとはどういうことか、
豊かな見方をするといいと思う。
・・・・・・・
生きる名人のことばのように
私には思えますが、皆さんは
いかがですか・・・。