自他の分離から・・・成熟へ! |
自他の分離が為されている・・・ということは
とても難しいことです。
しかしそれがクリアーされていない限り
自我の成熟へとは
進みません。
人間の赤ん坊は他の動物に比べたら
未熟児状態で生まれてきますから
母親はじめ両親の庇護と
一体化のもとでしか
育っていきません。
カウンセリングの研修を受けいているとき
両親から放置され
ほとんどスキンシップのない環境で
極端に生育が送れた幼児が
保護されたキリスト教系の施設の中で
シスター達に抱きしめられながら、
介護されるビデオを見ました。
その幼児はそこで始めて
愛される・・・つまり人間としての
扱いを受けたということですね。
大人に保護され、
抱きしめられ、存在を
認知される。
人間の赤ん坊は、
人の体温〔ぬくもり)に接し安心して初めて
神経系統が発達していくんですね。
しかし
人間も他の動物と同じように
自律(自立)の旅立ちが必要です。
それまでの親との一体化から
分離して初めて
”個”としての自我が
成立して行きます。
その"個”が色々な
思いかけない出会いや経験のなかで
ドンドン自分独自の”個”を
形成していくのですから
当然その内容は
他人には計り知れません。
しかしこの日本という国は
そういう風に人間が
全く個別の自分を生きている・・・という
社会認識が
ものすごく乏しいように
私は思います。
特に子供を育てる母親にいたっては
そういう認識をもった人に
出遭ったことがありません。
母親は無意識に子供と
一体化していますから
その意識を持ったまま
成人した子供でさえ
そういう風に接したり、
扱ってしまいます。
同様に母親だけでなく
自分の夫にも
同様の一体感を求め
彼が自分とは全く別の世界を
生きていると言う事を
なかなか理解できない。
妻だけではありませんよ、
夫も同様に妻を
自分と同じような人間だと
勘違いして
そういう期待や欲求を
求めてしまう人も
なんと多いことか!
家族トラブルの問題は
こういう意識の欠落によるものが
多いです。
家族といえども
すべて
個人です。
その個人を尊重し
自由を保障する。
それには自他の分離が意識で
成立していないと
自分の支配欲や
一体感を求めて
夫や
妻や
子供の
その個人の大切な世界に
執着したり
また指示、命令、助言などで
あたかもその人間にためになるような
思い違いをして
介入してしまいます。
しつこいけど
もう一度
他人は限りなく
自分とは遠い存在で
他者のなかに
何があるかなど
わからない!
そこをキモに銘じて
他者のなかの世界を
まず、
大切にする・・・と
心得て
おかねば、
ねー。
できるだけ自分の心の中から
相手を解き放ち
信頼し
相手の自主性と
自由を
尊重する。
それは翻って
自分が尊重されることでも
あります。
自分の内部から沸き起こる
エネルギーや
発想を
自在につかって
生きることに
繫がっていきます。
あたかも
森の中で
それぞれの
木が
個別に枝を伸ばしながらも
相手とぶつからず
共存して
生きているように
です。
※ 追
考えて見たら、
人間だけが他のいきものの世界を所有しようとしたり
土足で介入していますね。
他の生き物達はちゃんと棲み分けていると思うけど・・ねえ。