アンデルセンの童話より・・・・雑貨屋のゴブリン! |
男性性について書いてきましたが、
今日は、アンデルセンのアダルトについて
書いてみます。
アンデルセンが48歳のときに書いた
『雑貨屋ゴブリン』という童話で
この作品を読むと、アンデルセンの頭の良さが
わかります。
”ゴブリン”は家に棲みつく妖精で、
雑貨屋に棲みつこうとします。
なぜなら雑貨では、クリスマスに
ポリッジ(バターのかたまりが入った
オートミール)をボウルいっぱい
貰えるからです。
その雑貨の屋根裏部屋には
貧しい学生が間借りをしています。
雑貨屋に棲みこんだゴブリンは
あるときとても不思議な光景を目にします。
キャンドルとチーズを買おうとした学生が
おかみさんが古い詩の本のページを破って
チーズの包み紙しているのを見て
驚き、
チーズを買うのをやめ
代わりにその本を売ってもらい
ます。
学生のその行為を
理解できなかったゴブリンは
学生の部屋を覗きにゆきます。
するとその部屋は不思議な
明るさで満ちており
その光は
本のなかから出ています。
つまり、
本の詩のなかから
知性や音楽や物語が光になってはなたれ
部屋中に満ちている不思議な光景を
ゴブリンは見てしまうのです。
それは
あまりにも信じれないような
光景だったので
ゴブリンは考えます。
「こんなこととは、思ってもみなかった。
これからは学生といっしょに暮らそう!」
「いやいやはやまってはいけない、
あの学生じゃーポリッジをてにいれることは
できないぞ・・・?}と
考え直して雑貨へと降りてゆきました。
ところが
ある夜近所で火事がおこり
雑貨の主もみんな
自分のいちばん大切にしているものを持って
逃げ出しています。
その時ゴブリンは咄嗟に学生の部屋へ行き
あの古い詩の本を掴ん屋根のてっぺんへと逃げます。
そしてその宝物をいれた赤い帽子を
しっかり抱きかかえて煙突に座り
向こうで燃えている火事を見ています。
つまり、その時
ほんとうに自分が大切におもっているのは
学生のほうか、雑貨屋なのか
ゴブリンにはわかったのですが・・・・。
火事がおさまると、冷静さが戻ってきて
「よし、僕の時間をふたつにわけよう」と
決心します。
だって
「雑貨屋も捨てがたいからな、
なんてったってポリッジを貰えるし・・。」と!
アンデルセンはやっぱ
頭がいいですねえー!
自分のなかのチャイルドや女性性を駆使して
物語をつくり
一方で男性とアダルトで
バランスを取る。
感情も溢れるほど豊かだけれど
感情に溺れず
一方では冷静に現実(世の中)を
見廻している。
彼のなかはゴブリンと同じように
一方に知性や教養の学生と
もう一方には
ちゃんと生活のことを勘定している
雑貨屋の
ふたつの世界が同居していたのですね。
このバランスを取る能力が
あったからこそ
彼が作家として生き延びていったのだと
思います。
私もたいへん
ためになりました!

・小峰書店発行 「アンデルセンと13の童話」より
挿絵 ジョエル・スチュワート

よかったらどうぞ!
● 最近、ブログを書くだけで精一杯で、ちょっと疲れてきたので
コメントンに関しては、お返事を書かないことにいたしました。
でも記入はご自由にどうぞ!