生きる歓び・ふたりのお母さん! |
見ています。
このドラマの中で
花子の母親フジが
とてもいいのですよ。
農婦の母は
字も読めない無学で
まるっきり化粧っ気もなく
ひたすら働きます。
その役を演じている
室井滋さん,
こんなに演技の深い女優さんだったのですね!
素晴らしいです。
そして
日本にもこういう演技をする女優さんがいることが
とても安心しました。
フジさんは少し理想化されているかもしれませんが
それでも
懸命に働く農婦のお母さんは
あたたかく、優しく、辛抱づよい!
家は貧しく
花子の父親は、
社会主義思想に冒されて
家へは帰ってこない。
しかし母親は家族のために
ひたすら頑張る.
彼女がこの家の
大黒柱です。
このフジさんとよく似ているなあ~と
思うのが
アンデルセンの母親の
アンネ・マリーです。
アンネ・マリーも
字が読めず、教養もないのですが
靴職人でありながら
ナポレオンに浮かれて
ろくに稼ぎがない夫の代わりに
洗濯女や近所の家を掃除したり
下働きをして
家計を支えます。
しかし
その労働があまりに辛いのと
冷たい川の中で洗濯をし
冷え切った体を温めるために
昼間から
仕事中に温めたビールを飲み
少しアル中気味であったため
周囲から
ろくでなし女のレッテルを張られてしまいます。
でも
このお母さんは懸命に家族を養うために
働くのです。
お金がない時などは
物乞いまでしようとする。
アンデルセンの父親も
やっぱり
花子の父親と同様に
理想ばかり夢見て
ちっとも働きません。
最後は
お金をもらって
金持ちの農家の息子の代わりに
自分の支持するナポレオン戦争にゆき
帰ってきたときは
精神に異常をきたし
アンデルセンが11歳の時に
狂死します。
夫が死んで2年ほどで
アンネ・マリーは
20歳も年下の男と再婚し
アンデルセンは
その翌年14歳で
職を得るために
一人でコペンハーゲンへと
上京します。
アンネ・マリーは
その若い夫にも死に別れ
リウマチとアル中の中で
死んでいきます。
そしてどうやら
アンデルセンは成功後
自分の対面を気にしだしたのか
その母に
あまり優しくなかった節も見えます。
しかし彼が50歳時
「あの女はろくでなし」という
自分の母のことをかいた作品を
書きます。
そこには
自分のために懸命に働いてくれた母が
たとえ
周囲から
「ろくでなし」と言えわれようが
その母を擁護し
母に対する感謝と愛情が
書かれています。
そして彼の初めての
成功作品である
「即興詩人」の冒頭には
母親と少年アンデルセンのやり取りが
とても美しく書かれています。
天真爛漫で
気がいい
やさしいお母さんだったのだと
思います。
花子の母親のフジと
アンデルセンの母のアンネ・マリー
ふたりとも
ほんとうに貧乏の底で
苦労の連続で
しかし
その心根は
なんという
透明感のある女性たちでしょう。
人間として
とても素敵です。
ふたりともが
無学ですが
とても温かい心で
我が子のために
懸命に働き
その愛情を注ぎます。
私は自分の女性観の原点を
このふたりに
見ます。
二人ともが
継ぎはぎだらけの着物に
身を包み
黙々と働きながら
ただひたすらに
ひたすらに
家族のために生きる。
何物にも代えがたいおんなの魂の
つつましく
でも
あっけらかんと
たくましく生き抜く
ふたりの
お母さん。
その母親の後ろ姿をみていたからこそ
村岡花子さんと
アンデルセンは
その才能を開花させるまでの
頑張りが
あったのだと
思います。
いよいよシャドウのことをお話した
YouTubeがアップされました。
どうぞごらんください。
● 赤いろうそくと人魚・シャドウについて
● アンデルセンの男性性について
しゃんとした錫の兵隊・みにくいあひるの子・もみの木
親指姫
人魚姫
「竹取物語」
「シンデレラ」