シリーズ・物語から自由奔放に読み取ってみよう!雪の女王よりその2 |
アンデルセンにとって
「雪の女王」とは死の象徴でもあるのです。
アンデルセンの父親が亡くなる寸前に
窓ガラスに張った氷が
腕を伸ばしている乙女の形の氷模様のように
あらわれているのを見て
「きっと、このひとが、俺を欲しがっているんだ」と
言います。
そのことがあって
父親が亡くなったとき
母親が
その氷姫が連れていったと
アンデルセン少年にいいました。
だから
その氷姫を原形にもつ
「雪の女王」は
死を表すといってもいいのですが、
しかし
私はそう言いたくないという気持ちに駆られました。
なぜなら
「雪の女王」は死を表すと言ったとたんに
いかにも安易に
そういうレッテルが張られそうでもあり
また”死の象徴”という
極めてわかりやすい物語になってしまいそうに
思えたからです。
「雪の女王」を
簡単に読み解くな!と
思いました。
そうではなく
もっと深くて複雑な世界を
アンデルセンは
「雪の女王」に
託したような気がしたからです。
「雪の女王」の世界は
まだまだ不明で
難解なアンデルセンの何かが
託されていると
私は思うのです。
You Tubeでもお話しましたが
「雪の女王」は
理知の極みの<分別>と
<永遠>とは何かを
カイに問いかけました。
物語は
雪の女王の世界にいるカイを
捜して
地の果てまでいくゲルダです。
もしかしたら
そこは”死の淵”かもしれません。
しかし
「雪の女王」は
永遠という言葉を
私たちに
問いかけてきます。
おそらく
生と死のあいだにある
限りない生の原形は
カイが連れていかれた死の淵からの照り返す光で
照らされて
輝くのは生命溢れるゲルダの世界であり
生とはなにか
死とはなにか
を
私たちは
問いかけられているようにも
思います。
この生(生きる)と死(死ぬ)という
テーマは
その4年後に書かれた
「あるお母さんの話」のなかで
”生”と”死”が激突します。
同じ年にはあの
「マッチ売り」の少女も
書かれます。
深い深い
そして
難解な
アンデルセンの世界です。
そこには
アンデルセンが自分の中にある
心の格闘を乗り越えていく道筋があります。
「雪の女王」の物語は
そういう
大きな心の背景のなかで
生まれた作品だと
私はおもっています。
・[雪の女王」
・物語シリーズ最終回・「赤い靴」と「マッチ売りの少女」
です。
是非ご覧ください。
● 赤いろうそくと人魚・シャドウについて
● アンデルセンの男性性について
しゃんとした錫の兵隊・みにくいあひるの子・もみの木
親指姫
人魚姫
「竹取物語」
「シンデレラ」