音姫様ともしもし亀さんの往復書簡9 |
どうしてこんな貧相な男を
都知事にしちゃんたんだろうかと
思うけど、
でも
他に選択肢もなかったのもしれませんね。
今はアマチュアアが政治をする時代です。
それで久しぶりに
もしもし亀さんとの往復書簡です。
先日亀さんと一緒にもんじゃを食べたことのない
お姫様達をご案内して月島へ行きました。
もう楽しくて、楽しくて!!
そのあとせっかくですから
美術を専攻された白雪姫と共に
上野の西洋美術館で開催されている
「カラバッジョ展」を見に行きました。
私は白雪姫から色々と解説をしていただき
さらに
二人でコソコソを話ながら絵を見てゆき
いつもにはない
楽しさで鑑賞できました。
そのあと上野精養軒でお茶をしようと向かいましたが
途中で私がひっくりこけてしまいました。
でも大丈夫!!
毎日ラジオ体操をやっているからね
なんともありませんでした。!!
では
もしもし亀さんの手紙をどうぞ!!
↓
敬愛する音姫様
昨日は素敵なお姫様方と本当に素晴らしい一日を過ごすことができ、
夢のように幸せな気分を味わう事ができました。
素晴らしい姫会を催して頂き、
それに参加させて頂き、
本当に本当にありがとうございました。
亀が先導するお姫様ツアーは、
出足から見事に躓き、
地下鉄に乗るのに態々地上に出たり、
シンデレラのプリントが素敵なシンデレラ様のバッグに
音姫様に言われるまで気付かなかったりで、
過ごし易い春の日和にも拘らず、
出だしから冷汗ダクダクでございました。
グーグルナビのお陰で何とか辿り着いた月島のもんじゃ屋さんでも、
僕の作るもんじゃは何度も決壊を繰り返し、
挙げ句の果てには、何と音姫様に焼いて頂く有り様でございました。
もんじゃ初体験の親指姫様と白雪姫様には、
僕の作ったもんじゃが初めてでは本当に申し訳なかったのですが、
音姫様に助け船を出して頂いたお陰様で、
美味しいもんじゃを頂く事が出来て良かったです。
ただ、最後の「さっぽろもんじゃ」を焼く際に、
僕が余りにもダムの決壊防止に気を取られ過ぎていたので、
もんじゃ初体験の親指姫様に指摘されるまで、
肝心のミソとバターと麺を入れるのをすっかり忘れてしまっており、
折角の「さっぽろもんじゃ」が文字通り台無しになる所でございまいました。
トホホ…。
僕の母校のある上野に辿り着いた時は、
正直ホッとしましたが、最後まで気を引き締めて臨みました。
カラヴァッジョ展には沢山の人が押し寄せていたので、
チケットを買うのに20分くらいは並んだでしょうか?
ただ、並んで入っただけの甲斐がありました!
『果物籠を持つ少年』の果物籠には、
本当にビックリいたしました。
果物に当たる光の描写が実に見事で、
何か「本物よりも本物らしく描いてやろう」と言う
強い執念のようなものがひしひしと伝わって来て、
実際の果物よりも立体的に見え、
今にも画面から飛び出して来そうな勢いで迫って来ました。
光の描写の追求の果てに完成させたであろうその絵には、
作者の誇らしげな自信と達成感が漂っており、
その気迫に圧倒されてしまい、
僕は一歩も身動きが取れず、ずーっと眺めておりました。
すると、すーっと涙が溢れて来ました。
絵画を見て涙が出たのは、初めてだと思います。
最初この絵には他の絵よりも人集りが出来ていたので、
遠目から見た時は果物籠は見えず、
男か女か分からないほど美しい少年の白い肌が艶めかしく露出していたので、
「またイタリア男の男色物か」と思ってスルーしてしまいました。
解説文を読むと、少年の描写と果物籠の描写は、
はっきりと描き分けられているとの事でした。
確かにウブな少年はどこか弱々しく、
暗い光が当たっていて、
果物籠よりもぼんやりとした表現になっていました。
より自然な形で存在する果物達は天からの強い恵みの光を浴びて、
生き生きと生々しく描かれ、
今にも手に取れそうなほどで、
3D映画よりもリアルに表現されていました。
同一画面上で他と区別し、
はっきりと際立たせると言う意味では、
映画の白黒とカラーの表現に少し似ているなぁと思いました。
僕の大好きなスピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』に出て来る赤い少女のように。
もう一つ、衝撃を受けた絵がありました。
旧約聖書の有名な場面、
ダヴィデとゴリアテを描いたシリーズが3点展示されていて、
どれもカラヴァッジョの作品ではなかったのですが、
見比べる為に念入りに3往復ぐらいグルグルと見て回りました。
「もういいだろう。全部見た」と思い、
オラッツィオ・ボルジャンニと言う画家の
『ダヴィデとゴリアテ』から目を離した瞬間に、
今まさに首を斬られ、死に絶えようとしているゴリアテから、
何とウィンクされたのです😉
レスラーのようにがっしりとした筋骨隆々の巨人ゴリアテに比べて、
極端に小さく描かれている英雄ダヴィデはテレビゲームの中の勇者のようで、
「何だ、ちゃんちゃらおかしいや」と思って見ていたのですが、
ウィンクされた瞬間、完全なる敗者の大男ゴリアテに愛された気分になり、
同じく図体だけはデカい僕に、
「お前も俺と同じ運命さ」と言われているようで、
その素晴らしき春の一日を負け組のゴリアテに総括された感じがして、
その後が凄く不安になりました。
案の定、不安は直ぐに的中しました!
美術館を出た後、皆様でお茶をする為に上野精養軒に向かう途中、
僕の庭だと思っていた上野公園内で道に迷ってしまい、
出る必要のない道に出たばっかりに、
変な段差で音姫様を躓かせて、
危ない思いをさせてしまい、本当に申し訳ございませんでした。
その後、お身体は大丈夫でしたでしょうか?
道には迷い、真艫にもんじゃの一つも焼けないような情け無い男ではございますが、これが有りのままの自分でございます。もう2度目は無いかと存じますが、もし宜しければ、また皆様で何処かに行きたいですね。
昨日は本当に本当にありがとうございました。
修業中の亀より
P.S. 妖怪の名前は『モクメン』でお願いいたします。
音姫様もシンデレラ様も辛い料理は大丈夫ですか?