粗朶を担ぐ女たち! |
河合玉堂の日本画「暮春の雨」に描かれている
粗朶を背負って山道をくだっている農婦を見た時
そこに重なって
私の心に浮かんできたのが
小川紳助監督の映画に出てきた
農婦のおばあちゃんでした。
『ニッポン国 古屋敷村』だったか
『1000年刻みの日時計』だったか
はっきりとは思いだせないけれど
炭焼きのために山に籠った夫のために
朝は食事を運び、
夕方になると
粗朶や薪を背負って山から下り、
ひたすら夫や家族のために働いてきた
おばあちゃんの顔が
美しいかった。
おそらく尋常ではない重労働の中で
耐えしのんだであろう
日本の農婦たちの
それでも
あっけらかんと話し
人生の勲章のような
くちゃくちゃの笑顔も
きっと
小川監督には
たまらない魅力であったと
思う。
およそ化粧っけもなく
労働焼けした
しわだらけの農婦のお婆ちゃんを
どんな才気や才能がある女より
私は尊敬する。
感動する。
その姿がこの絵のなかで
蘇り
私は生きるということの
原理と原点とを
噛みしめる。
いつの間にか
文明の饗宴の中で
美しいとは何かが
虚栄にすり替えられていく現代の中で
たくさんの女たちが傷ついている。
しかし女たちよ
これまでのこの国を支えてきたのは
まぎれもなく
下働きの中でも
沈黙の中でも
耐え忍んで生き抜いた
日本の女たちの楽天性であったと
私は確信している。
その美しさと
逞しさと
けなげさを
わかる男だけを
女が選び取ろうではないか。
玉堂はその女の美しさを
春雨の詩情のなかで
愛し、
描いたと
思います。
ショートムービー「遠野はなんて素敵なところなの」
「遠野の妖怪アイコンフェスティバル」を企画進行させていく間に、
たくさんの素敵な遠野の方に出会いました。
それを佐藤記央さんが撮影し、村上浩康映画監督が編集し、
ショートムービーにしてくださいました。
皆さまどうぞご覧ください。