ドストエフスキーの予言その1 |
ロシアということで、
私はドストエフスキーを取り上げてみようと考えている。
だから彼の四大小説でまだ未読であった
「悪霊」に取り組んでいるのだが、
もう何度も読むのを中断した。
「悪霊」は人間の心のスキに忍びこみ
デモーニッシュな囁きで、
相手をそそのかしたり
焚きつけたりして
他者をマインドコントロールしようとする人間が様々に登場する。
それと同時、その悪魔に乗せられて
エキセントリックな振る舞いをする
愚かな人間などが描かれており、
わたしはかなり辟易しながら
読んでいる。
19世紀末のロシアがいかに混乱し
市民革命及び産業革命による
農業社会から工業社会への移行
資本主義の台頭による金権社会と工業労働者の増加、
そしてと封建社会と階級社会の解体の中で
アナーキ思想や無神論がはびこり
さらに共産主義革命の兆候の中で
虚無が蔓延してしまう。
そんな中で
なにが正しいか
何に依拠して生きたらいいのかが
分からなくなり
人々は他者への疑心暗鬼を募らせ、
即物的な欲求や
短絡した思考に走りながら
階級社会の秩序が崩壊した薄暗い闇のなかを
互いのむき出しの自我が衝突しながら
世の中を手さぐりしながら生きている。
時代としては2000年続いた農業社会から
一気に工業社会へと変貌するなかで
それまでの価値や規範や宗教が
無化したアノミー状態になり
社会の秩序も、
個々人の内的秩序もが
崩れていったのであるが、
しかしそれはまるで
物質社会から情報社会へ移行した
現代社会の混乱によく似ているように
私は思う。
情報社会がどんどんスパイラルに拡大膨張する中で
情報を選別する以前に、情報が独り歩きし、
さらに
人間が情報に踊らされ
コントロールされている。
急激なインターネット社会では
情報弱者は置き去りにされ
経済の格差や貧困がますます酷くなっている。
そして特筆すべきは
ますます過剰な文明化が進行しているように
思われることです。
過剰な文明とは
AIによるロボット化社会の出現で
反対に人間の脳の劣化が進み
それに過剰な情報による短絡的思考がはびこる中で
これまでのアナログ的人間関係が壊れてゆく危機を
私は感じている。
アナログ的人間関係とは
言葉にならない人間の感情、
優しさや、思いやりや、無償の愛情などで
それは人間と人間が体や心で触れ合うなかで
育まれる繊細なやり取りの中にある
自分及び他者への尊敬と尊厳の感情です。
まあ、例えば、
手間を掛け、時間をかけて
相手や子供に美味しい料理を食べさせようとするような
そういう面倒なことや
厄介なことを引き受けながら
他者との間で育んでいく優しさや思いやりや愛情です。
そこにあるのは
利便性や効率性ではない
人間同士の交流なのですが・・・。
あゝ話が広がりすぎましたね~。
ただ、ますます神経症的イライラと虚無がはびこってしまいそうな
現代社会と
ドストエフスキーの書いた19世紀末のロシアとを
重ねながら、
重い気持ちで、でも読みとおさなければと
読んでる次第です。
ヤレヤレ!
●「MIZUTAMA」3号更新しました。
愛とツッチーのオタトーク、
今回は「セーラームーン」です。
懐かしいですね~!
私も子供たちと一緒にテレビでみていました。