人生から解放される、その1 |
Nさんは多分もう、80歳を超えられていたと思います。
Nさんは夜が明ける頃、毎朝、
ご自分の家の周囲の道路を毎朝欠かさず掃いておられました。
いつも箒と紙袋を持って、掃いてはゴミをその紙袋にいれ、
少しずつ、少しずつ道を綺麗にして。
Nさんの家はゆるい坂の上のほうにあります。
私の家はNさんの家より坂の下の方にあります。
その私の家の前までも、一生懸命に掃いてくれていました。
以前、私は朝目が覚めるとすぐ散歩にでかけていました。
6時前に散歩にでかけると、時々Nさんと一緒になりました。
その時、Nさんはものすごく早足で私を追い抜いていきます!
時に二人で話込むこともありましたが、
でも途中でNさんは、じゃね~!と道を曲がっていきました。
Nさんは毎朝、4,50分はかかろうかと思われる墓地へと
お参りに行くのです。
そこには早く亡くなられたNさんのご主人と
自ら命を絶ったNさんの息子さんが眠っておられるのです。
そのお墓に
何十年も毎日、一日も欠かさず、毎朝、まいられるのです。
Nさんは、掃除の途中で、私と会うたびに
「あんたは良いね、元気がよくって!」といい
「わたしゃ、もうダメ、・・・・」と、
よくご自分がしんどいことを、
口にされました。
ある朝もそういうNさんに、
「もういいよ、こんなところまで掃かなくても!大変だから、もういいよ。」と。
するとNさんも、
「もういいね、もういいことにしてもらおう!」といいました。
以来Nさんはご自分の家の周辺のみを、お掃除されるようになりました。
Nさん、さよなら、
寂しいけどさよなら、でも
やっと人生から、
解放されたね!
よかったね。
●「MIZUTAMA」
記事を更新しました。
私がドストエフスキーの小説の中にでてくる
女達のことをかきました。是非読んでくださいな!
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