羽生君、おめでとう! |
まあ、金メダルとか銀メダルとかそんなものは
どうでもいいです。
ただ、ショートプログラムで、
彼がプレーする瞬間が
見事でした。
※私はフリーはみていませんので、それについては
分かりません。
私は、見るともなく、
偶然テレビで彼がプレイするところを見たのですが、
演技のために氷上に立っていた羽生君は
全てを諦めたように
全身の力がすっかりぬけていましたね。
※諦めたというのは、
自分の●意識的力でコントロールすることを諦めて、
自分の体にまかせたということです。
だから意識は溶解し、
頭の力も顔の力も体の力もすべてが
彼の足もとのエッジへと落ち、そこに重心がありました。
そして、
ショパンのバラードが始まるとともに、
彼の全部が見事にスケートのエッジに乗っかって、
エネルギーが流れ始めました。
その瞬間に私は、これはいくわ!
思いました。
彼のすべてがスケートの足元の一点へと
集約されて、それは、
点のエネルギーから
線のエネルギーへと流れていきました。
それは最後まで線としてのエネルギーがブレることなく
最後の一点へと集中を持続させて終わりました。
人間が何かを究めていくと、
ある瞬間、神がかってしまう時があります。
つまりすべてのことが
<全機現>として現象化することがあるのです。
※<全機現>とは、自分の内部と外界とが
同時に現象化しているということです。
しかしそれも、一瞬のことです。
そして、それが持続するということは、とても難しいです。
その時はできても、それはほんとに一瞬で
次にも同じようにやろうとしても、できません。
わかりやすく言うと、
あの時羽生君は、
意識が消えて、
無意識そのものの存在になったのではないかと
思います。
彼の意識は足の裏にあるエッジに集約されていき、
最終的には、
その意識すら消えて、
存在が一瞬、無意識そのものになる。
自分とその周囲の世界、宇宙もふくめて
存在全部が一体化して、ひとつに現象化する。
つまり小さなフロー状態がおきたのではないかと
思います。
これは、特別の人だけがそうなるのではありません。
ただ、そうなるためには
自分が<無心>にならなければなりません。
その<無心>になるということが
難しいのです。
欲をすて、意識をすて、ただひたすら、
それまでの自分の今に
任せる。
徹頭徹尾そこには
自分への信頼が、その存在を蔽い尽している。
それが難しいのです。
なかなか誰にでもできることではありません。
しかしなにかを極めつくしていくうちに
自分の外的世界と自分への信頼が一体化した創発が起きる。
例えば、名人の技術を持つという人など、
そういうところへと辿り着いている人だと思いいます。
そうなると、もう体にまかせた瞬間、持続的に
その技術が再現されて行きます。
ただね、私たちは、実はいつもそういう無意識で
生きているのです。
つまり私たちは生きることの名人なのです・・・が、
そこによけいなものが入った瞬間から、
無心ではなくなり、同時に名人ではなくなるのです。
迷人になるのかな!
面白ね。
羽生君、おめでとう!

