子規のことば! |
そのシリーズ「四」の中で書かれている正岡子規の言葉がいい。
子規は大学中退して陸羯南(くがかつなん)主催の新聞社「日本」に
就職する。
陸羯南は子規が尊敬し慕っていた人物である。
そこへ子規のふるさと松山から後輩の寒川鼠骨(さむかわそこつ)がやって来る。
鼠骨は子規より7才下である。
鼠骨は、「日本」に入社しようとして羯南に面会し
了承されるが、一方では朝日新聞の主筆の池辺三山にも
就職を頼んでいた。
鼠骨はその二社を天秤にかける。
「日本」は校正係で月俸十二円、
朝日新聞社は議会係りで二十五円。
そのどちらにするかを鼠骨はもう病床にあった子規に
相談にゆく。
その時の子規の、方言交じりに返した言葉が
素晴らしい。
「人間は最も少ない報酬で最も多く働く人ほど
エライぞな。
一の報酬で十の働きをするひとは、
百の報酬で百の働きをする人よりエライのぞな。
入りの多寡は人の尊卑でない事くらい分かっとろがな。
人は友を選ばんといかん。
「日本」には正しくで学問のできた人が多い」
(『随攷子規居士』)
ますます子規が好きになりました。
検索しなければいいのですが、ネットを使ってしまう癖がついてしまったのですね。
便利なようで、余計なお世話が氾濫していることも多いのかもしれません。
情報を得る権利があるということは、情報を入れずに感じる権利も同じようにあるということだと、思う今日この頃です。今年の私は、もっともっと自分に寄り添って、泥臭く生きていきたいと思います。