「もうこの世は飽きた」! |
以前は足だけだったのに
このところ
お腹廻りまでかゆくなり
つい
掻きむしってしまった。
それでお腹周辺が赤くなり、
多分これも乾燥による
老化現象だろうとはおもったが
一応近所の皮膚科へと
行ってみた。
週に2回しかやっていない皮膚科で
いってみるとなんと
もう八十はとっくに過ぎている
ヨボヨボの爺ちゃんの医者だった。
一応患部をみせて
心配になっている
もしかしたらカビとかそういう類の
かゆみかと聞いたら
「フガフガ~・・・・」
あゝちがいますか?と訊くと
「フガフガ~ち~・・・」
あゝ違うんですね。
これも老化現象ですか?と
訊くと爺ちゃんは
「フガフガ~ろ~・・・」と
うなづいた。
そばにいた看護婦さんが
「乾燥してますから、かゆみ止めの薬と
塗り薬をだしておきます。」と
ニコニコわらっていました。
歳をとると
皮膚も保湿力がなくなってくるんだね。
そうやって皮膚も枯れて皺になっていくんだな~と
なっとく。
老いをうけいれていくと
どんどん気持ちが楽になる。
夜夕飯を食べて、そのあと
ねるまでの時間つぶしに
徒然に本をよむのだけれど、
もうこの頃には
集中力も落ちてきて
なかなか文字に目が喰いつかない。
それでも寝るには時間がはやすぎる。
先日八時半にねたら
12時半には目が覚めてしまい
困った。
その日はサニフにいくので
映画の途中で寝たらこまるなあ~と
心配したが、
なんとか持ちこたえた。
昨日は故文化人類学者の山口昌男さんの本を
読んでいたら
明治の漢学者で
旧幕臣でもあった<中根香亭>は
歳をとって
「もうこの世は飽きた」といい
行方不明になったらしい。
この人は永井荷風や内田魯庵などが
大変尊敬していたひとで、
特に魯庵は、
幕臣として負けたあとの香亭が
いわゆる世の中の
ヒエラルキーからは
全く外れて生きて、
その生き方がものすごく美しいと
感激していた人らしい。
最後は
家財道具や本を親戚の人にあげて、
家は、一部屋だけ残して他人に譲り、
とき時その部屋に帰ってきて2,3日泊まりまた
どこかへとふらりと消えてしまう。
そういう生活を
7,8年送った後に
亡くなったそうだ。
「もうこの世は飽きた」、
なるほどな~
私ももうこの世は飽きたと
同感する。
しかし何処へ行っても
同じだろうとも思う。
ただ
香亭のその自由さがいいね~!
自然に逆らわず、
フーテンの寅じゃないけど
気の向くままに
この世を逍遥して
でも
できるだけ面白いことをしながら
さいごの時を
死までくぐりに抜けるとするかあ~!
いいね~、
香亭も
寅さんも、
さ。

うつぎは
毎年りちぎに咲いてくれる!