エロスの中の蟹の王国・村上浩康監督映画「蟹の惑星」 |
画面いっぱいに映し出された干潟のそこは
まさに蟹、蟹、蟹の、蟹に占拠された地であり、
まことにシュールな映像でした。
捕まえようとするとスルㇼと穴へと引っ込む蟹の小宇宙は、
人間などが手の及ばない、澄んだ蟹の王国でありました。
映画は、蟹の目を割りばしで塞いだり、
蟹の触手にワサビをつけたり
蟹の巣穴に石膏を流しこんだりと、
蟹からすればやりたい放題をして蟹の観察をする
ちょっとコアなおじいさんが、いかにも主役かと思えば、
そうでもなく、
圧倒的な<蟹様の世界>を、
見せつけられました。
なかでも、
蟹の交尾するシーンは美しく、
私はハッとし、ドキドキしながら、
見ました。
私が村上さんから映画についてのレクチャーをうけた最初の作品は
大島渚の「少年」ですからまさに
このシーンは瞬間的に大島渚を連想させましたよ。
大島ほど激しく強くそして権力的ではないかもしれませんが、
村上さん自身は、そう思っておられないかもしれませんが、
彼が内蔵している才能は、実は<攻撃とエロス>で、
それが無意識のうちにこのシーンへと
滲み出たのではないかと、
他者の才能を見つけるのが仕事のような私は、
そう思うのです。
だからこそこのシーンは、圧倒的に美しかった。
大島渚の「少年」は、
俗悪な大人の中で、傍観者としての少年の青い性が
少年の精神の緊張と端正なる心根を以て描かれている。
村上さんのなかにもその緊張と端正なるエロス世界があのではないかな~。
ドクメンタㇼ―映画というと、どうしても
社会正義やヒューマンドラマや、動物の棲息などなどが主でもう
マンネリになってしまい、
なかなかエロスを描く人はいない。
しかし時代はもうそういう既成観念から
抜けだすところに来ているのではないかと
私は思います。
だって社会正義やヒューマンドラマばかりじゃあほんとに面白くないですから。
実は昨日も映画「山懐に抱かれて」をみてきましたが、
いい映画でした。
しかしやはりヒューマンドラマでしたね。
それに私からすると、これこそが・・ということを
すら~っと通り抜かしており。
やはり作り手側の意識の問題かな~とおもいました。
※作り手側が従来のヒューマンストーリーの枠から
ぬけてでいないのです。
ほんとは次の時代への大切なメッセージがあったのに
流してしまっているのです。
まあ、エロスばかり描かないでもいいですが、
今回の「蟹の惑星」はそういう意味では
ドキュメンタリー映画の中では異色の面白さを放っていると思います。
「東京干潟」も、主人公のお爺さんは
えらくまっとうですが、
立川から歩いてきた白髪紳士のように
そこにあつまってくるホームレスの中には、
つげ義春さんや吾妻ひでおさんのような人も
おられるかもしれない。
もしかしたら、そこは市民社会の位相と違う文化の地かもしれず、
誰も描かない、位相の世界こそに
逆立ちしたリアリズムがあり、
オモロイ種が満載かもしれませんね。
勝手な事ばかり書きました。
村上監督、お許しください。
【映画 予告編】「東京干潟」「蟹の惑星」
「東京干潟」&「蟹の惑星」2019年7月13日(土)よりポレポレ東中野にて同時公開! 公式サイト http://higata.tokyo/ 「蟹の惑...

