お笑い第七世代のおびき寄せ芸と夕焼け! |
今の時代、特に若者の意識の文化が見えてくる。
何もかもが用意されている時代、
スイッチ一つで用が足りてしまう時代に生まれた子供のたちの,
意識です。
第七世代の芸人さんを見ていると、
その根底に何があるかが見えてくる。
彼らの弱さやそのネガティヴさを
こんなに便利で、こんなに豊で、何もかもが、お金さえあれば手に入る、
それが、何が不足か?と言ってしまえば身もふたもない。
彼らの中にあるのは、何に例えていいかもわからない、
自分の身体の不全感(どうしても満たされない)や、
スコンと胸がスッとする快感や、
自分の行為がちゃんと跳ね返ってくる満足感などなど、
そういうものが、この時代の若者から、取り上げられている。
取り上げられている、というより、
もはやテクノロジーの文化の中では
体験することが出来ないのだね。
さらに何もかも、揃っているけれど、
反対に人と人とのかかわりは希薄になり、
他人とかかわらなくても生きていける分、
そこにあるのは、
自分の意識に温度が湧かない、
感情がスッとしない。
どう他人と関わればいいのかわからない中の
なんともいえない心の空白や
虚無感や、寂しさがある。
つまり彼らはもう、
素朴なことに感動できない。
しかし、私はこのブログの冒頭に、若者の意識の<文化>とかきましたが、
そこには、今までにはない、文化の芽も出ている気がする。
微かに、ほんの少しであるが、
彼らの閉じられた自分の中から、
つまり生き抜く自信がなく怯えている彼らのカプセルの中から、
おそるおそるさしだされる手であり、
当たりを伺いながらも、ソロソロとだれかと繋がろうとする、
手である。
ディスコ君の中にも、草薙君の中にも、、みゆきちゃんの中にも
それがある。
それは今までの攻めていくお笑いではなく、
むしろ彼らの敵(客)を引き寄せる芸でもあり、
殻の中にこもった虫が怯えながらも餌を撒き
それに飛びつく奴(客)をおびき引き寄せているような芸でもある。
そこには、新しい弱者の芸が生まれていて、面白いな~と思います。
そもそも芸人とは、いちばん弱くてドジでダメな人間が
それを逆手にして、お金を手に入れる事であり、
世俗知から外れているからこそ、そこに価値がうまれてきます。
ディスコ君や草薙君をみていると、その背後には
同じようなたくさんの若者たちがみえてくる。
そしてそれは、彼らのせいではなく、
この日本という国の文化が排出した
時代の子でもある。
しかし、その時代の子から、今微妙な文化が生まれつつあるとしたら
私は嬉しい。
その芸の先に、
もしかしたら何年もの先になるかもしれないが、
彼らがもうハレバレと殻から抜け出し、
あの夕焼けをみることができたらいいな~と思う。
戦後の何もない時代に、
子供どうしで群れて遊び、
遊び疲れてみた、あの夕焼けを
彼らも見ることができると、嬉しいです。
あの頃の夕焼けは、文句なく美しく、楽しかったからね。
人々が体を張って生き、
体当たりでしゃにむに生きていた時代のことです。
それが映画をみてくれる人のささやかな希望になれば幸いです。