人間はほんとに苦しいことは他者には言わない。 じっと石を抱くように自分の心の奥底に押さえている。 |
じっと石を抱くように自分の心の奥底に押さえている。
それが分かる人間、
つまり人間の苦しみが分かればわかるほど、
うかつな言葉を吐いてはいけないことを知る。
さらにその人間の苦しみの深さになすすべもなく
じーっと見ているほかないことを知っている人間を
私は、尊敬する。
しかし一方
それが分からない人間は平気できれいごとを言う。
今の世の中は、そういう軽薄さが蔓延していると
私は思います。
だからこそ、311をセレモニー化する。
「風の電話」をみた人が、
この映画の演者は、ほんとうに被害者の気持ちがわかっているのだろうか、と
私に問いかけた時、私は返す言葉がなかった。
4年前、私は同じその人から当時の被害の様子の話を聞いた時、
当時の修羅場の臨場が迫ってきて胸が苦しくなり、
被害者とその家族にひたすら首を垂れるほかありませんでした。
さらに、生き残った人も多くは、死者にたいして、どこか自分を責めているところがあり、
それは心の傷として、なかなか消えない。
だからこそ、思い出さなくていい、と私は昨日書きました。
人の悲しみも苦しみも、時間を経て、記憶が風化してころ、消えていく。
なら、
忘れることこそ、忘れることが許さることこそ、
本当の治癒だと私は思う。
時間という贈り物の中で
人間は少しずつ息吹を回復していくんだね。