栃木県茂木町の山間にある、ちいさなパン屋と宿「月noco」から |
帰ってきた私は、なぜか不思議な感覚に包まれた。
それは、山の暮らし、町の暮らしという言葉が頭の中を巡りながら
浮かんできた感覚で、
「月noco」のあの暮らしなら
小さなレオン君(3歳)に
風が口笛を吹くかもしれないし、
栗の木が話かけてくるかもしれないし、
大きな川が偉そうに説教をするかもしれないし、
草の中では虫の小話が聴けて、
もうそろそろ産卵期の魚が川で跳ねるかもしれないな~と
もう本当にそう思ったからです。
あの賢治がそうであったように、です。
夜、夕食を囲んで移住者の皆さんと話す中、
松原さんが、
地区の中で車の運転ができなくなった高齢者のために、
食べ物や物資を巡回して売ることを
真剣に考えておられることを聞き、
それにも心打たれました。
家に帰ると、
テレビでは忙しくせわしいCMが流され、
醜悪な政治のニュースや、人の欲に満ちた
もう、どうでもいいようなことが撒き散らかされている。
あの山の暮らしには、
都会の人間にはもう擦切りれて、疲れて消えそうな心。
なにか、優しい風が通り抜けていくような
清々しく、大切なものがあったな~と。
たった一泊の旅だったけど、
とてもいやされた旅でした。