信長の空! |
こんな話を聞いた。
人間は大概の人が自分の経験に基づいて、
或いは、今迄自分が獲得した知識や思想の延長上に、
未来を設定するが、
時代の変わり目や、何か大きな変化がおきるとき、
それとは予想もしない状況が発生する。
実はこれと同じような話をディレクター(息子)からも
一週間前に聞いたばかりである。
息子も父親も期せずして同じ事を考えていたようだ。ちなみに
二人はあの喧嘩以来あっていない!
つまり二人ともこれから、
或いはもう始まっているかもしれないが、
時代は今までの既成観念が大きく崩れていき、
新しい社会へ向けてパラダイムの再編が始まる、
或いは始まっているというわけです。
そのとき、従来の価値に縛られて身動きできないのは、
伝統をもつもの、
つよい成功体験に縛られているもの、
すでに出来上がって安定した組織を持つものなど、
そういった位置にいる人間は
果たして自分たちが獲得している甘い蜜や権利、権限を
一切放棄して未来を発想出来るだろうかということです。
又既存の発想法を、
捨てて飛躍的なイメージが発想できるか?
ということなのだソウです。
二人の話を聞きながら、
私は戦国時代を思いました。
室町幕府が倒れて群雄割拠の時代が始まったとき、
それは思いもかけない埒外から
信長と秀吉が登場しました。
この二人は確実にその時代からは
はずれ者であり、
ひとりはうつけの吉法師(信長の幼名)
そして浮浪児の日吉丸。
二人とも群を抜いてのドロップアウト者です。
彼らの目に見えていた現実はどうだったんだろう?
およそばかばかしいことに血道をあげていた
周りの人間にさっさっと見切をつけ
彼ら独自の道を歩き始めました。
これからは今までの大きな企業が身動きできなくなり、
たくさんのベンチャー企業が雨後のたけのこのように
頭角を現して来るのかもしれない!
そして企業同士の小競り合いや,
戦国時代が始まるのかナァー。
しかし信長も秀吉も「天下」という大きなスケールで
時代を見ていたことは確かだ。
良くも悪くも全体が見えていたわけだ。
バカの吉法師がごろんと原っぱに転がって見た空は
コジキ同然の日吉丸がボロ船の中から見上げた空は
はてしなく広がる空の向こうには
何が見えたのだろうか!
少なくとも、
既存社会に依存せず、
そのおこぼれすら口にしない彼らが
思いもかけないところから、
時代のどてっぱらに穴をあけていった。
今の時代にしがみついて
既得権や既存の意識に絡めとられているうちに
ハメルンの笛吹きによってみーんな
踊りながら河に連れて行かれるかもしれないヨ!
私はやはりあの戦国時代の中で、
信長も秀吉も、
はっきりした「自分」をもっていたのだと思います。
それが時代に突き刺さり、
あまりに激しい信長は反感を買い殺されましたが、
彼は近代の扉を開けました。
秀吉の晩年はホメられた者じゃあありませんが、
信長の後を引き継いで天下を統一し時代を進めました。
さあ、この今、
あの吉法師の見ていた空を誰が引き継ぐのでしょうか。
少なくとも小泉さんではない事は確実です。
たいへんだけれども
反面わくわくするような
時代でもあります。