神様のふところ! |
アマチュアのオーケストラがあります。
色んな職業や、さまざまな年齢の人が来ていて、
オーケストラに入ってから、楽器を始めた人もいるらしい。
何回か演奏を聴きにいきましたが、
音やリズムのはずれ、音程の不安定さなど、
基礎的な技術では色々問題があります。
アマチュアオケなんですから、
それは仕方のないことだと思いますが・・・。
私も最初のうちは、それが気になって
顔をしかめたりしたのですが、
色々アイちゃんから話を聞くうちに、
アアー素敵な世界だなーと思うようになりました。
定年退職してから、一生懸命楽器を練習しても、
指が硬いし体の反応が遅いし、目も悪くなっているはずだし、
オーケストラについていくだけでも
たいへんなことだと思います。
だからいつも遠慮がちに、それでもがんばって弾く
おじいちゃんがいるそうですが、
演奏会の演目がチャイコフスキーの交響曲№5に決まったら、
そのおじいちゃんが、ぽつりと、
「もう一生に一度のチャイコフスキーの5番かもしれないから!」
といって、ファーストヴァイオリンにきたソウです。
それを聞いて、アイちゃんはちょっと胸が詰まったらしいけど。
バレンタインの時にそのおじいちゃんにチョコを上げたら、
ホワイトデーの時にかりんとで返してくれたそうで、
なんともほほえましいね・・・。
そこでは本当に初心者の人も受け容れているから、
初めて舞台に上がる人もいて、
体が震えながら演奏する人もいるらしい。
また新しい団員が来るとその人が孤立しないように
配慮したり、
とても暖かいオーケストラらしく、
そこがアマチュアオーケストラのいいところかもしれません。
今度は指揮の先生が本当に懇切丁寧に、いやな顔一つせず、
根気よく指導してくれているらしく、
アイちゃんも偉く感動して、
その先生の期待に沿うべく、がんばっています。
私は他にもアマチュアのオケを知っていますが、
どうも立派な演奏をする・・・というほうに走りがちで、
本当は音楽を愛する人が、
楽しいんで演奏をするということが、大切なのにねえー。
オケに行く彼女を駅へ送り届けた帰り、
車の中で、パガニーニのプレリュードを聴きました。
聞きながら体の中に激情が走り始めました。
普段は心の奥にしまいこんでいる感情が沸き起こって
物凄く自分が自分らしいひと時でした。
この激情こそ私の本質です。
音楽を聴いていると
喜びも悲しみも私の体を駆け巡り、
体が歌い、心が弾んで
感情が下からつきあがってきます。
音のうねりのなかで、
体中の細胞が溶けて自分がひとつになって、
丸ごと受け容れられているように感じます。
いやおうなく「私はここにいるよー!」って
こんな感じですかねぇー。
不思議ですね。
音楽こそは人間のすべてを網羅して受け容れてくれる、
神様のふところかも知れません。