本当の贅沢! |
[紙舗 直]の主人 坂本直昭さんの作品です。
気迫に満ちた一筆です。
絵でも音楽もそうですが、その人の人間性が
モロでます。
音楽の場合はその演奏者の呼吸というものが、
音楽のフレージングとなり、
その内面性の深さが曲のアンジュレーションを作ります。
私はブラームスのヴァイオリンコンチェルトが好きで、
ゾフィームッターのCDをよく聞きます。
ブラームスのとろけるようなフレーズを、
彼女が陽炎のような繊細さで聞かせてくれます。
又ドボルザークのチェロコンチェルトも大好きです。特に
ロストロポービッチの60歳くらいのときのもので、
いきなり最初のフレーズの一本の太い音を、
フォルテシッモで弾ききります。
凡庸な人間はついこの長い音に、
強弱の表情をつけてしまうのですが・・・!
(ちなみに日本のオケで何回かこの曲を聴きましたが、
みんな強弱の表情をつけていました。)
このフォルテ一本で弾ききり
そこに強い意志と信念、そして、
一刀のもとに両断する気迫を感じ
いつも勇気付けられています。
もろく壊れそうな音楽も、
強い真剣勝負のような音楽も、
又、弾丸列車のようなフィナーレも、
大きな一つのアンジュレーションの中に
私を巻き込み、その醍醐味の中に身を任せているとき、
本当に幸福です。
「絵」も有無を言わせず、胸に迫ってくるものを見た時は、
その絵と自分が対等に睨み合っているようで、
そのときこそ、
「我、ここにあり!」といった自分の実存を、
実感するときでもあります。
自分と対等に対峙する「絵」、
或いは自分を超えた凄い「絵」に出合ったときは、
心が満たされて、満たされて、
本当に幸せでアリマス。
反対に適当なところで妥協していたり、
何処の誰が書いたか解らないような、
独創生のない絵などに出合うと、
バカやロー勝負せーよ!
ケッと
軽蔑してしまいます。
私は大概自分の心の本当のところを口に出すので、
人によっては物凄く敬遠されますが、
それも
ケッてなモンです。
やっぱり全身で襲いかかってくるものこそ
こちらも全身で受け止め、
相手と自分が四つに組んだ真剣な
出会いこそが、
暑い日にシャワーを浴びた後のように
爽快です。
本当に贅沢ですが、
いつもそういう芸術を探しています。
凄く激しいでしょ、私は・・・!
みんなからそういわれます。
まあ、どうってこともないですがね・・・。
これが本性ですから・・・。