無意識世界からの呪縛を解く! |
「人間の自我は、
感覚を通して把握される現実の
さまざまなことに接していて
その未知の世界を理解し、
自分のものにしようとしている。」
これは秋山さと子さんが書いた
「ユング心理学へのいざない」という本の
冒頭の文章です。
つまり私達の自我は、常に
現実から来る情報を理解し
自分の中に取り入れる努力をしていて、
いかに現実に適応するか常に
考えているという事でしょうか。
さらにフロイトは
人間の自我が同様に、
心の中の未知な世界に接し
そこには人間が意識していない領域があり
それが日常的の行動に大きな影響を与えていると
考えました。
そしてそれはおそらく何かの理由で、
自我が意識したくない内容で
うずまっていて、
抑圧され、
忘れられた過去の体験と
かかわっていると
フロイトは考えました。
ユングはこのフロイトの考えをさらに進めて、
人間が意識しているのは、
心の中のほんの一部分で、
残りは無限大に広い無意識の世界があると
考えました。
そこを解明することにより、
無意識の呪縛から自我を解放し
生命の根源をつきとめたいと
考えました。
おとついある作家に会いました。
彼女の作品はとても丹精で
どこか「祈り」や
昇華された心というものを感じさせる作品ですが、
私はこの作品のおくに
ある封じられたエネルギーを感じていました。
率直にそのことを彼女に伝えましたところ、
ご自分の少女の頃の
不思議な体験を話してくれました。
その内容はご本人の許可を得ていないので
お話できませんが、
私には大変興味深い話で、
是非彼女のその体験を
作品化してもらいたい、
見せてもらいたいと思いました。
以前息子とイタリアへ行ったとき偶然
ボッス・ヒエロニムスの作品展を
見ることができました。
とても不思議な作品で
15世紀にこんなシュールで気味悪くへんてこりんで
意味不明の作品があろうとは・・・。
でもそこにはもう飛行船のような物も描いてあり、
その先見性にびっくりしました。
中世の世界
暗黒の時代の人間の深層の世界を
見た感じがしました。
最近私が思うことは、
21世紀のアートは
意識された世界は
描きつくされて、もういいから、
できたら人間の無意識の領域の世界を
追求して欲しいと思うのです。
意識的にこねくり回された世界や
眼に見える花や風景などは
もう良いから、
もっとおくにある
より本質的な世界を表現してくれないなかなー
なんて
勝手な思いをしているのですが。。。
おそらくそこを解明することで
いわゆる人間世界に付着したさまざまな
垢というかヘドロというか毒というか
そんなものが少しは
はがされて
もっと楽に生きれるようにならないか・・・と
思うのです。
先ほどの作家が少女の頃に体験した世界は
きっと世俗にまみれない前の
キラキラした感性でしょうし
散々捻じ曲げられる前の
人間の本質な姿が見えるような気が
します。
今日も森安君のお見舞いに行って
彼のからだに「気」をいれました。
他のお見舞いの方も一緒に
「気」を入れてくれて
一瞬彼の顔が赤らみ
まぶたがピクリと反応しました。
彼の事を思うお見舞いの人々が
みんなキレイな心で
彼を見守っているように
人間の本質は
おそらくすきとった「気」のように
ステキだと
私は思います。
わいせつで下品で怠け者でお金に自堕落な・・・!
いわゆるダメ人間を演じていた森安君が
じつは物凄く誠実な心の持ち主だったことを
彼の周りの誰もが見抜いていました。
人間の表層の姿ではなく、
その心の奥にある、
本来のすきとった姿を
伝えるために
アーティストの力を
期待しています。