加藤孝一「書と絵画」展より |
電話があり、
今開催中の「加藤孝一 書と絵画展」に
たくさんお客様が来られているとのことで
うれしいです。
加藤先生と私の出会いは、
川越の蓮馨寺のそばに有る「轟や」に
鰹節とコンブを買いに行った帰り、
ふと見ると、
店のまん前にギャラリーがあり、
ちょっとステキな抽象画展をやっていた。
こんな田舎で・・・・?
でも、まあ・・・と
入ってみると
中に小柄な老紳士が座っていました。
絵は墨と朱墨とクレヨン、鉛筆などを使った
抽象絵画で、
コンクリートの打ち抜きの壁に架けたら
ステキだろうなーと
思いました。
線とフォルムを絞り込んで一気に描いた・・・と
いう気迫の絵で、
作者であるその老紳士と話が弾んで
ついでにデッサン帳を見せていただいて
びっくり・・・・・!
ささっと描かれた素描の裸婦は
ふくよかな女体の柔らかさが
香ってくるような
優しさがあり
ページをめくりながら
ワクワクして
欲しくなり、
一枚を衝動買いしました。
1万円でね。
その後先生からお礼の手紙が来て
再び
びっくり・・・?
筆でしたためたその字が
スゴイ!
かな釘流のように
てらいがなく・・・・・!
私の好きな松田正平画伯の字に
何処か似ている。
いわゆるかもし出す空気がデス・・・。
同じように先生の字に
反応した人間がいました。
偶然ですが、
ギャラリー「放哉」のオーナーは
送られてきた手紙を
額装して飾っていました。
ただ好きで
ひたすら描くことに人生を
任せてしまったという先生の
無欲さは
画壇の出世とは無縁ですが・・・。
だからこそ
通俗的な邪気が無く
その絵の先に
欲をそぎ落とした「あっけらかん」が見えてくる。
今回の「七井土の灯」には、
赤や朱で描かれた作品が
出展されていますが、
初日に先生に
エゴン・シーレの赤というかオレンジに近い赤と
何か似てますね・・・と
話しましたら、
僕ね、エゴン・シーレ 大好きですよ。
ということから
エゴンの師匠のクリムトより
エゴンの方が断然いいと思うと、
お伝えしましたら、
僕もそう・・・。。。と二人で盛り上りました。
世の中はクリムトのほうが圧倒的に
人気があり
シーレのほうは絵がエグイ分
あまり知られていません・・。
デモね
苦しみ
闘ったのはシーレのほうだと
思いますよ。
クリムトのほうがズーット凡庸ですが
何しろ絵柄が解りやすく
単純に官能的で美しい・・・。
でも
私はシーレのほうが
自分の芸術性と格闘し
人生をそこにかけたとおもいます。
才能は
圧倒的に
スゴイ!
こんなこと愚痴っても仕方ないけど、
加藤先生のカッターで描いた美しい線は
誰も真似ができない?
その、鋭い線が描き出す
女の肉体への賛美・・・!
このエロティシズム
この官能を
誰かわかる人はー・・・と
思いますが・・・・?
もちろん
七井土のオーナーや
うちのディレクターやデザイナーは
十分解っていますが・・・。
なんでも鑑定団の影響か
それとも日本人が
目利きではないのか・・・?
こういう優れた芸術家が
大切にされていない・・・。
でも、先生はそんな下俗を超越して
毎日、ひたすら描いているから・・・・。
私は脱帽・・・・デス!