”今”の時代の・・・! |
来春大学を卒業するらしい青年のブログ
「鴎庵」というのがあります。
なかなか才気に満ちた視点と文章で
面白く又、
いまどきの若者も
大したものじゃあーのーと
感心しています。
今日また覗いたら
こんな文章がありました。
『大人になりきれない
陽炎のような
心象風景が描写されていた。』
新海誠の『秒速5センチメートル』という
アニメを見ての
感想なのですが・・。
こういう表現ができることが
凄いなーと思います。
昨夜、
以前少女漫画のアシスタントをしていた・・という
女性(多分40代)と電話で話しました。
彼女と話すのはコレで2度めくらいですが
昨日は「漫画」の話でしたので
スコシ深い話ができました。
彼女は今の漫画は質が落ちているようだ・・と
話してくれました。
団塊世代の漫画家に比べて
底が浅いような気がする・・・と・・。
確かに手塚治虫さんをはじめ
戦中、戦後世代の漫画家は
多くの傑出した作家がいます。
あえて名前は挙げられないほど
たくさんの
名作家たちです・・。
しかし(ここからは私の自論・・・)
それは明治維新以来の
西洋化の流れのなかで養われてきた
西洋的デモクラシーとヒューマニズムが
太平洋戦争・・後に成熟した時代に
生まれ、生きた人間たちの
物語で、今は
それらに基づいた
人間観と
人間関係が壊れ始めて来ているように
私は思います。
実の所
”今”の作家の漫画を私は読んでいません。
しかしアートの窓から見える風景は
「どう生きたらいいかわからない」
「私は生きることに戸惑っている・・・」
「とにかく生きてるけど・・・自分が
ガランドウのようで・・不安・・」
というようなメッセージを
感じます。
昨日ご紹介した
金子晴香さんの版画の作品に
{Suddenly I was born}というのが
あります。
浅彫なのでマチエールが
かすみながらの白黒です。
その中に
呆けたように立ってる人間の…画像・・。
まさに
突然この世に生まれて
どうしていいかわからない・・」と
戸惑っている人間・・が
原型のように
描かれています。
”今”を生きている人間が
そこにいる。。。と思い、
その作品を買いました。
なんだか生きているのに
生きることが辛い
自分の生々しい感覚が味わえず
いつも生ぬるくてちっとも
心の置き所がストンと落ちない・・。
そういう苦しいさが感じられます。
情熱的な
単純な
浪花節的な
人間関係を
築くことができない焦燥や
不全感・・。
そういうものを背負って
今の若者が生きているのでは・・・と
思います。
それは
出口がない筒の中や迷路の中を生きるような
辛さがあるのでは。。。と
思います。
手ごたえのあるヒューマニズムや
デモクラシー・・が
遠くにかすみだした・・
そういう時代・・に
ナニをどのように表現するのか・・・。
とても難しい・・ことだと、
最後は彼女ともどもお互いに
ため息を切りながら
話を終えました。