ドランク・ドラゴンの鈴木が面白い。 |
自分の存在の希薄さをエンエンと書くのだが
その希薄さをうまく使いながら周りの人物達を
際立たせていく。
上手いなー・・なかなかヤルねえー。
私はこういうどこか道を踏み外しただめ人間や
へたれた人間が好きで
その弱さに共感しつつも
その文章に表れているしたたかさにも
感心する。
どこかで俺はこんなもんだろうーと
諦観めいた立ち居地にいながら
それでも自分の核は誰にも譲らない。
譲ってばかりいてだめそうで
実は譲っていない。
おぎやはぎの矢作も
かなりしたたかで、
だめ、ズル人間を演じながら
ぬけめがない。
だめ人間を演じながらそれとなく相手を観察しつつ、
自分のペースに引き込んでいく。
矢作は頭がいいんだと思うけど
こういうずるさはけっこう好きです。
ドランクの鈴木にもどるが
こういう鈴木の気の抜けたサイダーのような生き方も
いいなあーと思う。
今はオリンピックで
なにが何でも”勝つ”ことがいいようにマスコミが煽るが
今日柔道の鈴木が初戦で負け
敗者復活でもまけて
しばらく立ち上がれなかった。
それを見ながら
いいよいいいよ、
勝つことなんかの執着なんか捨てちゃえ。
負けちまったぜ・・ッて早くわすれな・・と
思わずテレビに言ったら、
父ちゃんがくすくす笑ってた!
人生負けっぱなしでもいいジャン!
建築家の安藤忠雄さんの
「連戦連敗」という本があって
そのタイトルに惹かれてて買いました。
彼だって最初の頃は負けっぱなしだったみたいで
人間勝つことの執着からとき離れた心に
自分の努力が効いてくる。
そう思えば
ドランクの鈴木の立ち位置なんか
けっこう技師かもしれない。
カウンセリングで言えば
他人に期待されるなんてのは
いちばん避けなければならないことで、
人生は自分のためにのみある。
だから
はなから
誰からも期待されない位置に
自分がいる鈴木などは
もしかたら
人生の技師なのかもしれない。
鈴木の文には味がある。
ちょっとほろ苦い味が
いいねえー。
いいですよ。
なかなかのもんです。