Her・Land 彼女達の国から・・・生命の輝き! |
○斎藤由妃子 ・・・陶芸 「うつろいの兆し」 10月5日~10月12日
○金子晴香・・・版画・オブジェ・絵画 「おとの無いおどり」 10月14日~10月19日
○わたなべいくこ・・・絵画 「わたしの筆(あし)あと・・・怒りの矛先」10月21日~10月26日
○女のサーカス(グループ展)10月28日~11月2日
・chigiradio(チギラジオ)・・・鍛金
・中島智美 ・・・オブジェ
・内藤瑤子・・・絵画
・山中奈緒子・・・ダンボールアート
・くす美・・・写真&ミクストメディア
・播磨みどり・・・立体・絵画
・増子博子・・・ペン画
・倉本麻弓・・・ミクストメディア
四週間にわたってさまざまな女性達の展覧会を開催します。
それぞれの女性達の生命力溢れる表現の煌きをどうぞご堪能ください。
確か5歳か6歳くらいだったと思います。
ある日父と一緒にオルガンを買いに行きました。
戦後のまだほとんど何もない頃の話です。
鮮明に覚えているのは
父が質流れ品のハモンドオルガンをリヤカーに載せて
引いてかえる傍を一生懸命遅れないように歩いた事です。
群青色の占領軍(アメリカ軍)から払い下げた毛布を敷いて
その上にオルガンを載せてロープで縛り
一緒に坂道をのぼりました。
山の中腹に焼け残ったぼろぼろの家があり
そこへ運んだのです。
大きな声で”歩けーあるけー、あーあるけあるけー”と
高村光太郎が作詞した歌を
父も私も歌いながら
エンヤコラ、エンヤコラとリヤカーを
引いて行きました。
母は女学校でピアノをならっており
わたしは母からピアノの手ほどきを受けました。
これが私が音楽や美術へとのめりこむいちばん最初の出来事です。
父は自分の芸術への憧れを幼い私の中へ転写して
オルガンで練習をはじめ
やがて中古のピアノを買った父と母に見張られながら
毎日1時間練習しました。
柱時計の12、3、6、9の数字の横に赤や青や緑、黄色の
折り紙が張られ、15分ずつ四冊のピアノの教則本を
練習しました。
その一方で音楽会や展覧会が催されると
必ず連れて行かれました。
それが私にとってどんなに退屈で、苦痛であったか・・。でも
スパルタの父に逆らう事の恐ろしさで
あたかも早熟な少女のように黙ってワケのわからない音楽を聴き
面白くもなんともない絵画をみ、
おさない私は今から思うとなんとけなげであったか・・。
そういう私の育ち方は、
常識的なことはほとんどわからないけど
絵や音楽には敏感に反応する
かなり偏った人格を作ったと思います。
でも
こうして
アート作品の前で心を震わしている自分を見ると
そういう宿命の自分が半分は疎ましくある一方
何物にも替え難く心の満ちる感動に喜びがあります。
残りの人生をなににささげて生きるか・・・というとき
芸術と文化の扉から
こうしてささやかな展覧会を開けることに感謝します。
いつも思うのは
何事もいいこと半分悪い事半分で
私の人生もちょうどそのようでした。