女のサーカス・倉本麻弓・夢のマルプチル! |

倉本麻弓作品マルチプル「夢日記」

この作品の夢
ビルの入り口の前で、順番待ちをしていて私の番がくる。
広場に沢山の人が正座している。主が私のところにくる。
背中に睡眠を促すツボがあるらしく、催眠術をかけられる。
主が触った瞬間から体じゅうがしびれ、意識を失いそうになるが、
私は必死にかからないように願った。結局半分かかった状態で次の部屋へ向かう。
奥の部屋は複雑に入りくんでいて、私は主に見つからないように逃げていた。
途中、見つけた箱を、好奇心で開けてみると、1997.2.18に実際に見た白いかわいい犬が
水死していた。
私は、奥の部屋で逃げるが、左手をつかまれて捕まってしまう。
帰り道で、女の人が爆発するのを見る。
その血に触れると気が狂って人を襲うようになる。

この作品の夢
方向音痴ウイルスがまちに発生。
感染すると最後は死んで星になる。

倉本麻弓作品 夢日記 マルチプル
小さな箱の中に見た夢が描かれている立体です。
自分の見た夢を日記のように作品にする。
倉本麻弓さんのこの独創的で連続的な作業による作品
マルチプル。
マルチプルとは
あるテーマにしたがって量産された
総合的な集大成の作品の事を言います。
夢とはなにか、
一昔前までは夢の中に隠されたメッセージがあり
それを分析する事で心理的な治療をすると言う
フロイトやユングの夢分析がありましたが、
現代では
記憶の破片が脳の緊張の解除とともに浮上してくる・・というふうに
もいわれています。
夢にはたして意味があるのか・・・?
夢中に真実はあるのかどうかはどうかわかりませんが、
私は一度だけ強烈に真実を夢から知らされた経験が
あります。
結婚して10年くらい経たとき
夢の中で自分がもう夫から愛されていない・・ということを
知らされました。
当時はどうしてもそのことを受け入れられず
夢の中のこととして
やり過ごそうと自分の意識をそらしましたが
それはほんとうにそのとおりで
その時期を含めて20数年間
私は苦しみつづけました。
しかしそのおかげで
私はいま人間の原風景なるものを掴み
それを受け入れて生きることができています。
時として自分の孤独の破れ目から
あまりにも悲しい現実に自分を哀れむ感情が
噴出すこともありましたが
そこをつくろいながら
自分を立てなおし
心を整理しては
現実を受け入れてゆく作業をいたしました。
ほとんどの人間は
自分の孤独をカムフラージュする幻想のなかで
生きていますが、
ほんとうは一人一人が断絶したなかで
かろうじて成立する接点を手がかりに共存しています。
また限りられたエネルギーの中をいきています。
一人一人が自分のことだけで精一杯です。
だからこそ
他人に依存し、その人のエネルギーを奪ってはいけない。
自分の甘えや支配欲や自己顕示に
他人のエネルギーを犯してはいけないのです。
人間孤独ですが
自分の孤独を哀れんではいけない。
もちろん被害者になっては尚いけない。
ひとりで生まれひとりで死ぬその
高邁さを
受けいれて、さて
自分はどう生きたらいいのか。
そういうことを考え続けた
20数年でした。
あの
私の甘えに止めを刺した夢がなかったら
今の私は無かったと思います。
人間社会はまさにマルプチル
人間それぞれが不連続に存在しながら
連続する世界をつくるマルプチル。
倉本麻弓さんの夢のマルプチル
たくさんの夢のストーリが描かれています。
まさに
”孤独”の集大成ともいえる作品です。
今既に終息期に入って昏睡している母を毎朝見舞いながら
母は母なりに死と格闘しているその姿に
憐れみが浮かびそうになりますが
しかしそれも振り切って、
”今日もそれぞれを生きましょう”と
病院を出、ギャラリーに向かいます。。
それぞれの未知を
ひとりで生きて
死ぬんです。
ひとりでね。

