人間の輝き・・? |
ステキでしたねえー。
又音楽がいい!
ハチャトリアンの仮面舞踏会
ヨーロッパの音楽にはない
重厚な暗さとでもいいましょうか
そして複雑に織り成される人間の憎愛
そんな曲のワルツに乗って,
ほんとうに伸び伸びと
華麗なスケーティングー~~でした。
中野由香里のジゼルもステキでしたが、
やはり勝負となると
仮面舞踏会の曲としての厚みと風格でしょう。
美しいということは
どういうことなんでしょうか。
人間の織り成す感情は
あまりにも複雑で、怪奇で、
どうしてこうもややこしいのかと
うんざりしますが
そういうドロドロのこともぜーんぶ含めないと
ほんとうの輝きが出てきません。
宮沢賢治の貝の火という童話があります。
ウサギのホモイがひばりの子を救ったことから
そのご褒美として貝の火という珠をもらうのです。
その珠はいつも善行をしていないと
とたんに曇りだします。
ホモイはその珠をもらった事からスコシ天狗になり
ずるい狐の甘言にはまり,
ズルズルと悪に染まっていきます。
そしてついに珠は砕けてしまい、
ホモイの目にその粉がはいり
失明してしまいます。
お話はなんだか説教めいて
人間の脆さを言っている様なんですけど、
その最後にホモイの父親のセリフが,
いいんです。
泣いている母親とホモイにたいして
「泣くな、こんなことはどこにもあるのだ。
それをわかったお前は一番さいわいなのだ。・・・・・」と
そうなんですね
いろーんなことが
すったもんだあって
人間の世界は重厚でおもしろく
そして輝くんですね。
この物語を書いた頃の宮沢賢治はまだ
そういう自分の暗部にたいして大らかなんです。
しかしそれがある頃から
善行へと純化してしていきます。
その純化の裏側に私は,
賢治の絶望を見ますが、
まあ
そのことは,
よくよく人間の深い暗部にたいしての認識がないと
理解できないと思います。
その頃の賢治の苦しみが
あの銀河鉄道の夜に投射されていきます。
完成されたものではなく
三回の推敲された,もと原稿の中に
潜んでいます。
人間がいかに立体的か!
時にうんざりしますが
そういうことなんでしょう。