私の仕事、12、最終回 |
その道具に人間が呑みこまれ、挙句の果てには
使えわれてしまったものに<お金>がある。
本来は交換の道具としてあったにもかかわらず、
いつの間にか、お金そのものが価値をもち、
お金を持つことに意味がつき、
その挙句の果てが今の金融経済ではないか。
お金は交換の道具に過ぎない。
私は若い人達に、おかねは道具として、
いかに有効に使いこなすかだと
いつも言っている。
ところがお金に依存が起きるとお金はあっという間に
人間をとりこにし、呑みこんでいった。
つまりお金に感情が移入されてしまったのだ。
お金によって
・お金さえあれば何でも買えるような。
・自己実現が可能なのような。
・お金によって自分の存在が承認されるような。
・お金がお金を産むような。
・自分の幸福がお金で買えるような。
というマネー幻想の中に人間は取りこまれてしまった。
いつも人間は、こういう失敗をする。
いつも人間は、自分以外の外の世界を幻想化せずにはいられない。
なぜなら、それは
・人間が自分以外の世界をわからず、
・自分と他者との世界を同じと勘違いし、
・自分と他者の関係を幻想化し
・わかったつもりで生きるからである。
ほんとうは、
人間、自分一人の脳と体の世界をいきている。
分かったつもりでいきていて
自分の世界がさも他者との世界と合有(同じ)であるかのような
錯覚しているかぎり、
他人の真実もみえてこない。
つまり、
自分も孤独で、他人も孤独で
自分も限界をもち、他人も限界の中で生きていることを
わかりえない、知らない。
自分以外の自分の外の世界も自分と同じように小さく、弱く、
常にギリギリでいき、
常に未知の暗闇の世界を歩いていることを
理解できていないからである。
だから他者に期待や願望をいだいても
それが無理であることも、
相手に愛されることや、
承認されることや
受け入れられることにも、無理があることを
わからないからこそ、
外の世界を幻想化して依存する。
他人が愛情をくれるかのように錯覚する。
※特に愛情の幻想は根が深く、
いつまでたっても愛情が幻想であることに
人間は気づかない。
「時代の不安とどう向き合うか!その3」で書いたように
この世の現象は全て、自分の脳の中のおきている現象で
その、脳の中の現象が集合してできているのが
人間の世の中、とうものであることを
人間が、り、か、い、しえてくると
人間は、その存在のしかたも、外部との関係も
大きな変容を遂げることができる。
それは厳粛な人間の事実を知ることであり、
そこからこそ、自立した自分の生き方が見えてくる。
つまり、
自分の欲望や感情が、対人関係の中では不毛であること。
そして、
自分が承認されることをはじめ
外部への期待や望みをすべて捨てること。
さらに自分の欲望や願望や希望を叶えるには
自分が努力するしかないこと。
或は
自分の内部を変えるしかないことに
気づくだろう。
もしそうなれば、
人間は、個々の自立こそが必須であり、
その自立し、独立した自分を以て
他者とどういう風に、良き関係を結ぶかを
意識的に努力するだろう。
それは極めて理性的な関係でしか成立しない。
欲望や願望は自分で叶えるしかない。
それは、自分が自分をどにように生かすかの思慮と行動について
人間は知恵をはたらかさなければ、何一つ手には入らない。
他者と争うことも、他者と競うことも、対立することも
すべてが、不毛で無駄なことだと分かるでしょう。
欲というものが不毛であることを知れば、
地球という限られた資源と環境の中で
自分に必要な物のみを手に入れる、
そういう存在の仕方しかなくなる。
そもそも心の欠損ということが、
他人の愛情が欲しいということや
自分を認め受け入れてほしいという
究めて幼稚で甘えた心理によって起きるものであり、
他人から愛情も承認も貰うことができない・・と
心の欠損をうめるには、
自分が自分を充実させるほかなないのである。
心の欠損を他人や物でうめようとすることは、
自分のやるべきことをやらないことで
自分が満たされないという、極めて小児的我儘な現象を
起こしているにすぎない。
そんなことが通るような世の中ではないのである。
そこでは、人間と人間も、人間と物の関係も
人間と自然の関係も
最も自然で単純な関係に
立ち戻れることができると
私は考えている。
ただし、いつさいの幻想も依存も思いこみも捨てての話であるが。
厳しい、自立の自分を確立するときこそ、
そこに自分と同じように、
脆弱な自分、限界を抱えて生きている人々、
人間がみえてくる。
冷厳なる人間の真実がみえてくるとおもうよ。
そのときこそ、
ささやかかに、ささやかに、
共感と
小さな、小さな愛が、
芽生てくるとおもうよ。
いつかそういう時代がくるといいね!
このことをお伝えするのが、
私の仕事であると思い書きました。
私のは仕事は、
仕事になったかな?

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